先日、一部区間で高速道路の制限スピードを110キロまで引き上げる事を警視庁が発表しました。
時期はまだ確定していませんが、2017年以降に新東名高速道路(静岡県)の「御殿場ジャンクション」から「浜松いなさジャンクション」の間と、東北自動車道(岩手県)の「花巻南インターチェンジ」から「盛岡南インターチェンジ」で試行します。
その後、試行を検証し、東名、新東名、東北道、常磐道、関越道、東関東道、九州道などで、道路設計の速度が120キロ、20キロメートル以上の区間、交通量が少ないなどの条件を満たせば、順次引き上げて行くようです。
53年間放置された高速道路の最高速制限
1963年に日本で最初の名神高速が開通して以来初めての100キロ超への引き上げです。
1963頃と言えば、初代のフェアレディZやサニー・ブルーバードが販売されていた頃で、ホンダがマン島TTレースで優勝し、鈴鹿サーキットが国内初の全面舗装のサーキットとして完成しロードレース世界選手権を開催しました。
現在の車の技術革新、性能向上は凄まじく、比べようがありませんが、早く安全に走る為には、ブレーキとタイヤの性能が上がった事も見逃してはなりません。
1960代のタイヤはナイロンという合成繊維と合成ゴムと言う新規原材料の組み合わせの加工技術を使ったバイアスタイヤが主流で、やっとラジアルタイヤが世にで初めた頃でした。
今程のタイヤグリップ力や撥水生、静粛性が無く、安全性を考えると現在の時速120キロ以上のリスクがあったのではと思います。
今日、こんなに車両やそれを取り巻く環境が良くなったのに、今まで高速道路の制限スピードが改定されてこなかった事自体かおかしいと思うんですが、ちなみに今の最高速のタイヤは、車は「300km/h超」。バイクでも「270km/h」のメーカー保証が付いています。
バイクもこの頃から日本では量産が始まり、1960年後半にはついにホンダがCB750Fourを発売して、量産オートバイで世界で初めて200㎞/hを超えました。
この頃の自動二輪の免許は普通免許に「おまけ」で付いていて、今で言う大型自動二輪も乗れたそうです。(今のように「普通二輪免許」「大型二輪免許大型」だとか分かれていませんでした。)
当時で200㎞を超えたバイクがあったのに、なにをいまさら、100キロから110キロへの引き上げで騒いでいるのかと言う気もしますが、そんな事を言ってはいけません。
高速道路120キロの話を聞いたのは今から20年以上前の事ですが実際には、新東名の建設は設計速度140 km/hを担保とした構造になっています。
オートバイで高速道路の120キロは危険?
高速道路を実際に走っていると、110キロぐらいで巡行している車は沢山います。
車の場合は直線でもコーナーでもハンドルを「曲げる」「戻す」で巡行できますがバイクの場合は違います。
それは、バイクの巡行はスピードの減速と加速が伴うからです。
バイクの基本は減速して車体を倒してコーナーを曲がり、車体を起こす時はアクセルを開けて加速させます。加速により、倒れこむ力とコーナーリングの遠心力のバランスが崩れてバイクは自分から起きてきます。
特に大型のバイクは重いので、加速は絶対で簡単に10キロ以上加速してしまいます。
実際には100キロの巡行でも100キロと120~130キロぐらいの間を行ったり来たりしていると思います。(大型バイクの場合)
オートバイにも、オフロード、オンロード、アメリカンなど、色々なタイプがありますが、巡行スピード110キロが危険と言うニュアンスはちょっと間違えがあると思います。
危険なのはスピードでは無く
- 車線変更などの際、周りの状況が読めない。
- 車線変更などの際、後方の安全確認が出来ていない。
- 渋滞時、無理なすり抜けをして走って行く。
などではないでしょうか。
では、愛車のセローについても考えてみましょう。
ツーリングセロー250での時速120キロ巡行について
時速100キロぐらいになると、フロント剛性の頼りなさを感じ、時速100キロ以上の巡行で1時間も走ると疲れて「イヤ」になってきます。
同じ250ccでも友人のヤマハMT-25は時速170キロぐらい出るそうで、時速100キロ以上の巡行では苦にならないって言ってます。(時速170キロはサーキットで走ったそうです。念のため公道ではありません。)
個人的には「高速の制限速度引き上げでバイクはどうなる?」の答えとして、バイクの特性上、コーナーの立ち上がりで加速して走って行く事や、車の流れに乗って安全に走って行く事を考えれば今と同じだと思います。
セローにとって、時速120キロ巡行は厳しいので、一番左の車線は時速100キロまでなど規制をつけてくれると嬉しいです。