「日本」「北米」「カナダ」「南米」「オーストラリア」と世界への出荷台数が19万6000台を超えているロングセラーのSEROW(カモシカ)。
多くのバイク雑誌で「バイク選びに迷ったら、セローを選べば間違えない」と紹介されています。
セロー250のコンセプトや人気の理由についてまとめてみました。
バイクショップでセローが入荷できない。
先日、行きつけのバイク屋さんに行った時の話です。
セローの新車が3台納車待ちで、店頭に飾ってあるバイクは1台だけ。
入荷されてもすぐに買い手がつき、どんどん売れてしまうそうで、今あるセローが出荷した後は数カ月の入荷待ちかも知れないって言ってました。
セローは販売開始してから30年が経ち、こなれたバイクなので、それなりに人気はあるんですが、ここに来て急に売れ始めたのはなぜなんでしょう。
バイク屋さんの分析では、雑誌で「バイク選びに迷ったら、セローを選べば間違えない」と言う記事が影響してるんでは無いかと言う事です。
そこで人気の理由を調査してみました。
セローのコンセプト
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ニーズに合っていて、長年ブランドを育てた結果、人気が高くなった。
30周年記念セローミーティングで、現在プロジェクトリーダーを務める坂本氏は「225から250になる時もYAMAHA社内には225信者が非常に多くて熱い議論した。その後も高速道路の走行性能や積載性を改善しながらもセローらしさを残した」とおっしゃっていました。
ウワサではセルを付ける時も社内ですごい反対があったと聞きます。セローの本質を崩さずに新しいバイクに進化して行く。
そんな事が根強いファンを作ったんでしょうね。 -
オフロード車は車高が高いことがネックだったが、セローは足つきの良いオフ車としてマウンテントレールと呼ばれるジャンルで登場した。
発売当初(1985年)オフロードバイクもモトクロスもレプリカがもてはやされた時代。あえて「人と競いあうのではなく、気軽にライディングを楽しめる」をコンセプトで開発されたセロー。
開発者の牧野さんは「山で遊べるバイク、泥の中でも川の中でも入っていって、転んでも人もバイクも最小限のダメージで遊べるよう考えた。開発者は実際に山へ行って転んで、なんで転んだのか考えた。」とおっしゃっています。
そんな事が足つきの良いオフ車になったんですね。
セローの維持費
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故障しない、壊れない、壊れても部品代が安い。オフロードバイクなので少々立ちゴケや転倒をしても傷が気になりません。
山で遊べば当然コケるし、どこか壊れる。でも壊れて自走出来なくなるのは絶対避けなければいけない。
たからあえて壊れやすい場所を作り、そこでダメージを吸収して走行不能になる事を回避しているそうです。
そして壊れやすい部品は安く手にはいる事が必要だと言う事でした。 -
車検が無いので維持費が抑えられる。燃費のことを意識しなくても安定して30km/L以上で走れる。
車検、けっこうお金かかりますもんね。大型車に乗ってた時、自賠責や重量税も含めて、10万円以上掛かっていた気がします。
セローの場合、12ヶ月の定期点検に出して、整備代1万5千円、オイルは1.40Lなのでコストパフォーマンスに好評なヤマルーブ プレミアムシンセティックに交換しても2000円ぐらい。その他諸々入れて、点検代2万円弱って言った所でしょうか。
タイヤ代は前・後を合わせても2万円ぐらい。ネットで安いの探して自分で交換出きれば1万円ちょいオーバーでタイヤ交換が出来ます。 -
起動力も抜群ですし、ショックも柔らかくて乗り心地も良く、整備性も良い。燃費も、1日中好きなだけバイクを走ってガソリン代2000円以下。
セロー開発のキッカケとなったのは、山道・林道や原野などを走れるトレールに必要性を感じ事だそうです。だから起動力も抜群なんですね!
225から250にモデルチェンジした時にトレール+ツーリングにシフトして行き、高速道路の移動の改良で乗り心地が改善されたんだと思います。
4サイクル単気筒・最高出力は18PS、馬力が抑えられている分、燃費が良くなっているんじゃないでしょうか。
高速道路、80キロ巡行でリッター40キロぐらい走ります。
セローの口コミ
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せいぜい100キロぐらいまでで、スピードが出すぎない。ゆっくり走ることによって景色が楽しめるようになりました
高速道路で100キロ以上出すと怖いものがありますよね。
最近高速で2時間程度の距離なら行は高速、帰りは下道から帰って来るようにしました。その方が町中の風景や自然の感動を受けれて楽しいです。 -
やっぱり女性でも乗りやすいバイクなんですよ
月間ダートスポーツ・セローオンリーのインタビューに答えている女性も「山遊びからツーリングまで、すべてこなせる相棒」「ちょうど二輪免許取ってから一年、セローの走りやすい所がお気に入り」「乗りやすい!とにかく軽い!高速では置いていかれるけど、どこにでも行けるところが最高」「自信を持たせてくれる。やっぱりバイクって面白いと思わせてくれる」「いつでも気軽にのれる」「なんでもこなしてくれるオールラウンダー」と言う意見がありました。
オフ車でありながら女性でも足が届く車高、車両重量130kgの軽さ。扱いやすく壊れにくい。おサイフに優しい。だから女性にも人気なんですね。 -
オフ車の中ではシートが柔らかく広いので遠出も楽 。乗車姿勢も疲れにくい 。ポジションが楽。
225から250へのモデルチェンジして長距離走行は凄く良くなったと聞きます。
普通の舗装道路で長距離を流している時はちょっとシートの後方に座る事で無理に膝や足首を曲げる事も無く楽に走れるようになります。
また、こうする事で1日8時間ぐらいまでならお尻が痛くならずに走れました。
乗車姿勢もオンロードのような前傾も無く、背筋を伸ばして座れるので頸椎や椎間板に無理に力が入らず楽に走れるんじゃないかと思います。 -
軽く、ハンドルの切れ角も大きいのは林道などでは大きなアドバンテージ
ハンドル、思いっきり切ってもタンクに邪魔される事もなく、楽にUターンできます。慣れてきたら、車線の半分ぐらいの幅でもUターン出来るようになります。
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シートが高く見晴らしが良いので、事故・危険回避
一見シートが高いように見えますが、乗車すると結構サスは沈みます。見晴らしが良いのは、乗車姿勢がオンロードより上半身を起しているので、視線が上がり、視野が広く感じられるのではないかと思います。
スーパーの駐車場でセローを止めてると、たまに「大きいバイクですね」って声かけられます。車高のせいか、一般の人からは大きいバイクに見えるんですね。 -
足つき、馬力など、どれをとってもワンランク下だけど、扱いきれる感じが良いんじゃないか。乗りやすくそこそこ走るから。
同感です。オフロードバイクの用語で言う「ゲロ」は腕が無いので、とても使い切れませんが、普通の舗装された峠では結構いい感じで走れます。
セローの売却
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人気車種のため、「やっぱバイクもういいや」ってなって売る時も買い取り価格が高い!
セローの中古バイクでも2~3年落ちだったら40万円以上しています。それだけ人気が高いんですね。
新車価格が53万円ぐらいだから、10万円ぐらいの差だったら新車の方が安心出来る気もします。
一方でセロー225WE、走行距離5,000キロの中古が37万8千円で売られています。当時の標準車両本体価格と千円しか違いません! 恐るべし旧セローの人気
人気の理由まとめ
セローのコンセプト「山で遊べるトレッキング」マウンテン・トレールとして開発され、開発者は毎週のように山へ行ってセローで走り、課題を見つけて改良をしていったそうです。
セルスタートの改良も、実際に獣道で転んでエンストした時に、上り坂や下り坂でのキックのエンジン始動はとても困難だったので、セルスタートに変えたとの事でした。
卓上の理論よりも現場の声を大切にし、生産性や利益優先では無く、物づくりの本質を求めた所が、30年間と言う長い歴史を持つ製品になったんだと思います。
また、当時は「スペック至上主義」と言う風潮があった時代に、あえて突出したスペックを排除し「トータルバランス」とれたバイクの開発を許したヤマハの懐の深さも、良い物が作れる社風なんだと思います。
オフロード用語 – 燕人絶好調 引用させて頂きました。